ガラガラガラ、アスファルトとキャスターが擦れる音が住宅街に響く。


「なぁーんにも、変わってないのね」


目一杯肺に空気を取り込んでからはぁーっと思い切り吐き出す。


自営業の小さなスーパーも、保育園もコンビニも、昔あったものが今も変わらず存在し続けている。


ああ、懐かしい。


自分の耳元で濡れた輝きを放つ青いピアスにそっと触れた。


「会いに来たわよ」


彼の姿が脳裏を過ぎる。嬉しくてつい口角が上がってしまうのは仕方がない。




―――私は、約束を果たすためにこの街へ舞い戻ってきた。