今、過去にされたことがフラッシュバックしてる。


多分俺のことも今は自分を傷つけようとする他人、または閉じ込めた犯人としか思ってない。


「碧音、何もしないから」


優しく、怖がらせないように言う。


「……だ、やめっ…」


嫌だ、止めてと声に出すのも辛そうだ。


「や……っ!」


隙をついてグッと距離を詰め、碧音を抱き締めた。


「はなっ、して、ごめんなさっ……」


「碧音、俺だよ。皐月」


痛々しいほどに腕の中でカタカタ震えて、荒く息を吐き出している。まだ俺が皐月だと、危害を加えない人間だと判断が出来ていない。


ギュッと目を堅く閉じて、うわ言のようにごめんなさい、止めて嫌だと繰り返す。


碧音、大丈夫、もう安心していいぞ、そう思いを込めて背中をさすった。