「俺は変態女と買い出しなんか行かないかんな!美味しいこと何もねえわ」


「私だって碧音君と買い出し行きたかったです。照れちゃって素直に行こうって言わないだけなんですよきっと!」


「全力で拒否する」


本日何度目かの蔑んだ視線、頂きました。溜め息を吐く物憂気な雰囲気が、堪らない。


うっとり碧音君を見つめたら傍に置いてあったティッシュの箱の角で叩かれたけど。


「明日歌ちゃん、手出して」


「はい!」


「いくよ。っじゃんけん、ぽん」



「「「……」」」


まさに、三者三様のリアクションだったに違いない。



――――――――――――

―――…………



「なあ、どうして俺が買い出しだと思う?」


「高瀬さんと私がじゃんけんで負けたからです」


そう、負けたのは私達。だからコンビニまでの道のりを炎天下の中、文句たらたらで歩いているのだ。


コンクリートからの照り返しも加わり、日焼けしてるなぁと感じられる。


「まじあちぃ」


「暑いですね。でも私、夏好きですよ?」


「女って普通汗かくの嫌なんじゃねえの?あ、そっかお前女から逸脱してるもんな」


高瀬さんはぷっと吹き出し、小バカにしたような笑みを浮かべる。


「女子です。か弱くてふわふわした女子です」


「真逆だろ」


おお、素早いツッコミだった。


「そういう高瀬さんは夏が嫌いなんですか?」


「嫌いじゃないっつーか。春は花粉で無理、秋はジメジメした暑さだし、冬は寒いの駄目だから、消去法で夏」


「夏はいいですよ。特に今年は碧音君の鎖骨見放題ですし!」


「助けてー、誰かこの変態女から助けてー」


わざとらしく、手をメガホン代わりにして棒読みする高瀬さん。


「変態って止めてもらえません?!私明日歌っていう名前がちゃんとあるんです」