「藍、顔上げて」


膝にくっつけていた額を離し、私を見てくれる。


前髪の隙間から垣間みえる瞳からは透明な滴が流れポタリ、地面に落下。


藍が泣いてるとこ、初めて見たよ。


「藍、自分が波江さんに作った曲、思い出して」


前に藍が作詞した曲、聞いたことある。あれは、波江さんに対して書いた歌詞だったんだね。


言葉の意味的にも、そういうことだったのかと真実を知った今なら分かる。


「――もしも君が闇に溺れたら、僕も一緒に堕ちるから。例え君が光を失っても、僕が光を分けてあげるから――」


リズムに言葉をのせて歌う。


藍が目を見開き、はっとした顔をした。