キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】



どうしてこう、せっかくだからと思って行動した日に限って皆揃わないんだ。こんなことになるなら、ケーキ、買ってこなきゃよかったのに。


数時間前の自分が恨めしくなる。ケーキもグチャグチャだけど、それ以上に心がグチャグチャだった。


…………ほら、家に帰ってきても良いことなんてない。


何これ、1人で浮かれてバカみたい。イライラ、焦燥感、喪失感がごちゃ混ぜ。


「に、兄ちゃん」


結人が困ったように近づいてきた。


「兄ちゃん、俺っ……」


涙目になってケーキと俺を交互に見つめてくる。それにすらイライラした。


「なあ結人、良いこと教えてあげようか」


「なあに?」


お前も知ってて損しないからさ。


「この家族って、バラバラなの。お父さんもお母さんも俺達のこと何にも気にしてない、放っておく。ぶっちゃけ俺もどうでもいい」


だから。