逆にこいつはそれが出来ないから意識がどちらか一方に集中する、そこを狙ってやった。
「はい、俺の勝ち」
「んだよ。また藍に負けた!」
「連勝記録更新中。優希のおかげで」
「だあー!俺の連敗記録が……」
本気で悔しがる優希が面白くて笑ってしまう。
お前は分かりやすいから次の攻撃が手に取るように分かるんだよ。俺が特別強いっていうより、優希が弱い。
「で、でも今回の負けは藍のためにわざと!わざと負けたんだぞ」
「じゃあさっきの落ち込み様は何。真面目に悔しいんだろ」
「ちげえし!今日は藍の誕生日だから勝利をプレゼントしてあげたっつーことだ」
「そんなへぼいプレゼントいらないわ」
苦し紛れに突然思いついたであろう言い訳を口にする優希にデコピン。
「今額割れるかと思った!」
「大げさ」
下らないことで散々2人で笑いあった。笑い疲れて、ゴロンと床に寝転がり天井を仰ぐ。
「藍ってさあ、周りからは落ち着いてるよねって言われるけど実は全然はしゃぐし俺らと変わんねえよな」
「優希よりかは大人だと思ってる」
「否定出来ない」


