「自分と同じ制服着てる碧音君が見れるとは……!」


「感動して固まってる場合じゃないよ、せっかくだし話しかければ。おーい、刹那」


菜流が大きく手を振って碧音君を呼ぶと、むこうも気づいたみたいでこっちに目を向けてくれた。


ただ一瞬にして顔を歪めてクラスに戻ろうとしたから『待ってください!』と駆け寄る。


「碧音君!おはよう!」


「いつでもどこでもうるさいなお前は」


「刹那って7組だったんだね」


私と菜流の登場に少し後ずさる。いきなり勢いよく話しかけすぎたと反省して前のめりになっていた姿勢を戻した。


あの夜のライブのときステージの上で魅惑的な歌を披露していた人が、今は普通に高校1年生として目の前にいるんだ。


「なになに?この子達碧音の知り合い?」


碧音君と一緒に話していた男の子が興味津々な様子で私達の顔を交互に見比べる。


「俺こんな変態と知り合いじゃない」


「は、変態?」


「碧音君それ禁句!違います、ちゃんとした顔見知りですのでご安心を」


「そうなんだ、名前は?俺は桐谷、碧音と一緒で7組」


柔らかい茶髪で、人なつっこそうな雰囲気と見た目。碧音君とは真逆だ。


「私は紀藤です、1組。明日歌も同じ組だよ」