私がいくら言い訳して誤魔化したところで、簡単に嘘だとバレるんだろうな。


「心配になるよ。電話切った後の顔、切なそうだし。練習にだってあんまり来なくなったでしょ」


藍は大学生なんだから、大学やバイト先の事情で練習に来られなくなっても仕方ない。


でも、そういう事で悩んでるんじゃない気がして。


「ガキには理解出来ない大人の悩みっつーもんがあんの。1人にしておいてやるのも優しさだって学校で習いませんでしたかぁー?」


「習いませんでしたぁー」


「てめえのその顔ムカつくからコンクリートにこんにちはさせてやりてぇ」


「それはコンクリートに顔面強打しろと?鼻潰れますけど!?」


バチバチ火花を散らしてワーワー言い合ってたら練習室から出てきた碧音君に『2人してうるさいんだよ。ケンカなら他でやれ』と冷凍庫並みの冷たいオーラで言われたので、一時休戦となった。


「今度は何でケンカしたの?」


遅れて休憩室に現れた星渚さんがクスクス笑う。


『どうせ下らないことなんだよね』という台詞が言葉の裏に隠されている気がするのは私だけじゃないはず。