『いてくれて良かった』雨宮先輩の言の葉が、じんわり身体に染み込む。
お前が必要、いて欲しい、それが俺にとっての誉め言葉。
歌が上手だね、天才だ君には敵わないとよく言われる称賛よりもずっと価値がある。
「そろそろステージから降りてください、準備始めますので」
「あっ、ごめんなさい降ります!」
ステージから舞台袖へ降りてからもずっと笑顔で泣いていた先輩達の顔を見て、やっと報われた気がした。
—――先輩達と別れて、体育館の外へ出ると。
「お疲れー刹那。ライブ、成功したじゃん」
「俺がアドバイスしただけあってよかったぜ!」
「碧音、ギター上手くなったな。よく頑張りました」
藍に頭を撫でられる。こういうとき、藍は大人で自分はまだ子供だって改めて思う。
「私、明日歌や刹那から軽音の発表のこと聞いたときはどうなるのかなってちょっとだけ心配してたけど、文句なしのステージだった」
「ならよかった。……明日歌」
「なんでしょう!」