「俺、ライブ以外で藍さんに会えるなんて思ってもみませんでした!握手して欲しいっす」
「ははっ。ありがと」
「牧田さん、私もギターやってるんです」
「女子でギター弾けるって、格好良いと思うよ」
「またライブ行きますねっ」
「うれしいな。ありがとう」
藍の口から出る台詞の殆どはリップサービスだけど。それに気づいてる奴はいない。
……てか、そうじゃなくて。
「っ何してんの」
ざわついた中でも聞こえるようにいつもより声を張って呼ぶと、おー!と手を振ってきた。
「碧音!おっす」
「何で星渚も藍も皐月も来てんの」
「それは私と明日歌が見に来てって誘ったから」
「せっかくの碧音君のステージだし、星渚さん達にも見てほしくて」
ようやく中心まで来た明日歌。マラソンした後みたいに息あがってるけど。


