本当に菜流は30分もあれば余裕で終わらせられるんだろう。私は間違えたところを含め残りの問題を解いていく。


そしてあと2問、というところで菜流がシャーペンを手に取り、ものすごい早さで解答欄を埋めていった。


星渚さんが英語やフランス語とか語学を大学で専攻してるからその影響で菜流もその分野が得意なのは知ってたけど、すごいとしか言えない。


「終わった人はプリント教卓の上に置いといてくださ~い!」


日直の子が前で呼びかけたところでチャイムが鳴った。


「はい終了ー」


「本当に解き終わっちゃったよこの子」


「ふふふっこれくらい何てことないわ」


キメ顔でウィンクしたときの仕草が星渚さんそっくりだな、と微笑ましく思う。菜流と自分のプリントを教卓の上に出して席に戻ると。


「おーい、紀藤さん、橘さん!」


菜流を呼ぶ声がして廊下側を見れば、桐谷君が元気に手を振っていた。その隣には相変わらずポーカーフェイスの碧音君。


「桐谷君じゃん、久しぶり~」


「おはよう!」


菜流と席を立って廊下に出る。


「夏休み前に話した以来だよな!紀藤さん髪のびた?」


「よく分かったねぇーのばしてるんだ」