キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】



ああ、やっぱり歌ってる時が1番生き生きいしてるね、碧音君。


黒髪をフワリと揺らしながら、全力でどこまでも歌を届けようとしてる。


これだけの熱気に包まれ気分が高揚する中でも、勢いでリズムを早めてしまったりしないのが碧音君だ。


「――Tell me why――」


「……っきゃー!!」


「midnightー!もっと歌って」


「最高っ。格好良い!」


歌い終わると同時に、耳をつん裂く歓喜の叫び。私も興奮して一緒に叫んでしまう。だって、皆すごく輝いて見えるから。合宿の成果は十分発揮されたようだ。


次の曲は?と全員ソワソワして待つ。碧音君が観客を見渡してたっぷり間をあけてから。


「Next is ……―ッCalling!」


あ、この曲私の意見が採用されたやつだ。あの時の負のオーラとどんよりした空気は今でも忘れられないけど。


「――聴かせてよ、君の声。僕を呼んで――」


これも格好良くて気分が上がる曲。


そして、私の意見で変えられた部分になった時。私の勘違いかもしれないけれど、碧音君が私に笑顔を向けてくれた気がした。