「……な、菜流」
「また緊張してきたとか言うわけ?明日歌が緊張してどうすんの」
「そうだけど!しちゃうんだもん。トラブルが起きたらどうしようとか!」
理由を挙げてみても、菜流は『はーん、ふーん、へーえ』としか返してこない。適当だなおい。それは星渚さん達のライブが絶対成功するって確信を持ってるからだろうけど。
「よし、こんな時は」
自分の右手に人の字を書いてゴクン、飲むふりをする。
「そんなおまじない、気休めでしょ?」
「そう?効果あるよ」
「小学生から『古くさっ!』って言われるんじゃない」
「私の中では、昔教えてもらったこのおまじないが1番いいんだって」
菜流もやるだけやってみたらいいのに。
……まあ、菜流ならもっと理論的に証明された方法を使うだろうけど。こういうとこも星渚さんと同じだ。
碧音君達のライブまで、後1分。心の中で60、59、カウントダウンする。合宿の成果が試される時がきたのだ。
―――――そして。
ステージの袖から颯爽と登場してきた4人。


