……こいつら本当、どんだけシスコンとブラコンなんだよ引くわ!
ライブの度に菜流のやつ写メ送ってきやがって、アホ。星渚も星渚でこの画像を大事に保存していて壁紙に設定してる。理解できない領域だ。
でもこれで星渚のやる気が上がるんだから、どうしようもねえ。
「そりゃー良かったな」
「羨ましいの?あげないよ」
「これっぽっちも羨ましくねえよ!」
携帯を適当に放り投げると、星渚が何てことないように見事にキャッチする。
「さて、と」
膝に手をつき腰を上げ、控え室を出た。少し離れた場所に植えられている大木の幹に寄りかかっている人物が、1人。
「あーおーい。時間」
戻ると言っていた時間を過ぎても控え室に来ないから、こうして呼びに来てやったのだ。携帯持ってんだろうが。時間確認しろよ。
「……あ、ごめん」
黒のイヤホンを外し、集中するために閉じていた瞳を開く。
「ステージの反対側見たか?去年より人多いぞ」
「多いほど良いじゃん」


