キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】



会場内には2つのステージが設けられていて、観客は各々どちらか好きな方のステージへ行きライブに参加するのだ。


「前に来れたね」


菜流的には、今の位置が良いポイントのようだ。


「ピックとか投げてくれるかな?」


「くれるんじゃない?」


バンドと観客の距離が近い。


そこまで大規模な会場じゃないからステージも2つで、普通はスタンディングゾーンやシートゾーンがあるけど、ここは前者のみ。それでも十分広いけど。


「バンドの名前何だっけ?」


菜流が見ているパンフレットを覗く。


「BLACK、最近活動し始めたバンド。でもこのイベントに出られるくらいには、実力あるよ」


「さすが、情報通!」


「星渚のライブ観に行くと、必然的に他のバンドのライブも観るじゃん?だから覚えちゃうんだよねえ」


碧音君達のバンド以外は興味ないと言っていた菜流も認めているんだから、BLACKのライブが俄然楽しみになってきた。