一旦列が進み始めると早いもので、一気に会場入り口まで近づけた。中の様子も少し伺える。
「いよいよだね、明日歌」
「走って前の方に行こう!」
お互い顔を見合わせ、よし!と気合いを入れる。
入り口まで後10メートル、8メートル、3メートル。
「押さないようにー。走らないでください!」
スタッフの注意を聞きながら、ついに会場内へ足を踏み入れた。
「行くよ明日歌っ」
「オッケーです!」
走ってはいけないので仕方なく、これでもかという程の早歩きでお目当てのステージへ向かう。
やはり会場はたくさんの観客で埋め尽くされ、ザワついている。
上手く人の間を縫っていかないと、足止めされてしまう。
「明日歌、こっち」
「わー、はぐれる」
私の前を歩く菜流に、迷子にならないように着いて行く。そして数分後、第1ステージへ到着。


