「あぁ、やっちゃった」
屈んで小銭を1枚1枚拾っていると、光に照らされて白っぽい色になっているアスファルトに、ユラリと黒い影が。
「どうぞ」
「……え?」
上から降ってきた声に顔を上げ――――。
「っ、な、何で」
「ん?」
私が落とした小銭の内の数枚を手の平に乗せ、愛想の良い笑みを浮かべる人物は。
「も、もしかして……結人さん、ですか?」
ですか?なんて疑問系で聞いているけど、実際は確信しかない。藍の弟の、結人さん。
私が尋ねると結人は一瞬怪訝な表情をしたものの、どうやら気づいてくれたらしい。
「…………そういえば、スタジオの前にいたよね」
はい、と小銭を手渡してくれた。
藍さんより明るめなマロンブラウンの髪を遊ばせ、清潔感漂う爽やかな淡いブルーのシャツを羽織り、インナーは白でワンポイントの刺繍がアクセント。


