彼女は心に愛を飼っているらしい




「中西ー」

「へい」


次々と名前が呼ばれる中、呼ばれた生徒が教卓に向かい、担任から紙を受け取る。名前順に呼ばれるのでいつも待っているほんの少しの時間が退屈だった。


「森谷」

「はい」


そしてようやく呼ばれると、僕は立ち上がり担任のところに向かう。すると「よく頑張ったな」という声と共に紙を渡された。


受け取ったのはこの間受けたテストの結果と順位表だ。そこにはずらりと並ぶ赤丸と共にクラス順位1位と書かれた紙があった。


「わ〜本当に頭いいのね」


すると彼女がひょこっと現れて、僕の見ている紙を後ろから覗き込んだ。


「見るなよ」

「いいじゃない、そんなにいい結果なんだから」

「無神経だなぁ、キミさそれ他の人にやってごらんよ。絶対友達なんか出来ないから」

彼女に友達が出来ないという、気づけばこれが僕の口癖にもなりつつある。


「キミだって同じでしょ?」

「作ろうとして出来ないのと、元から作る気がなくていないのは同じじゃない」


すると彼女は口を尖らせて言った。


「いいもん。もう諦めた!キミがいるからそんなに寂しくないし」

「僕はキミと友達になった覚えはないんだけど」