ぱちり、ぱちり、と瞬きを繰り返すたび目の前の景色が変わっていく。
僕が今見た景色は1秒後には変わってしまい、もう2度と見ることが出来ないものなんだと思うと、下手な映画を見ているよりももっと価値のあるもののような気がした。
「ねぇ、本当に医者になりたいって思ってる?」
だけど、彼女のこの言葉だけはやっぱり居心地の悪さを感じて、僕はキレイな茜色の空から目を逸らした。
「仮に思ってなかったとしても、僕は医者になるって決められているんだからその問いかけは意味ないものだよ」
「決められたことが正しいとは限らないよ。自分を信じて逆らってみたら?」
決められた道に逆らうことがどんなに難しいことなのか、彼女は分かっていない。
そりゃ、分かるはずがない。
彼女の生まれて来た場所は僕なんかとはまるで違う場所なんだろうから。
「どうせキミと僕とは違うんだ。キミには何言っても分からないと思うよ」
「キミっていつもそうやって自分を否定する言葉を言うよね」
別に自分を否定するつもりで言ったわけではない。僕が使う、どうせは諦めの言葉だ。
「どういうところが違うっていうの?」
「どこもかしこも違うよ」


