「ごめん……」
勝手にみたことは悪いと思ったらしい。
だけど、反省の色を見せたのは一瞬で彼女はまた無神経な質問をする。
「ねぇ、どうして医者になりたいの?」
彼女から紙を奪い取って元の位置に戻す。
もう見られているから何度見られても変わらないはずなのに、僕は紙の上にワザと筆箱を置いた。
「別になりたいなりたくないで決めてるんじゃないし」
「じゃあ何で決めてるの?」
「何も。僕は医者になるって決められている。だから勉強してる」
「自分の進路なのに?誰か決めてるの?」
矢継ぎ早に繰り返される質問に僕はうんざりした。
なりたいものが決まってる僕と彼女は一見同じように見えるけど、本当は全然違う。
考え方も生き方も、そして性格もまるで違うのだから言っても理解出来るわけがないのだ。
質問に答えることなく黙っていたら、彼女は言った。
「一番最初にキミと会った時に、夢があるんだねって言ったこと覚えてる?
その時のキミはどこか夢に対して感情的で、強い思いがあるんだと思ってた」
「あれはキミがしつこいから感情的になってただけだ」
「そうは見えなかったよ、何か強い気持ちで追い求めてる夢があるんだと思ってた」
「そんなのないよ」


