理解が出来たかと聞かれれば確実に出来てないと答えるであろうそれを、彼女はペラペラと話し出す。
手を使ってジェスチャーを交えながら、その「愛」について語るのに真剣である。
彼女の説明によると、彼女の心の中にある「愛」はビンのようなものの中にあり、人からもらった愛をそこにたくさんため込むことが出来るのだと言う。
そのビンの中がいっぱいになって溢れそうになったら誰かに分けてあげる。
そうやって世界は出来上がっているんだ、と嬉しそうに答えた。
「いっぱいになったらキミにも分けてあげるね」
「別に要らないけど」
「気にならない?」
「気にならない」
「私の話、信じてない?」
「…………」
その質問には答えずに、箸でブロッコリーを摘まむと、口に入れた。
答えなかったのは、彼女の言葉に呆れていたからかもしれないし、僕をバカにしなかった彼女を僕がバカにする資格はないと思ったのかもしれない。
どちらでもある矛盾した気持ちを表現するのは黙っているのが一番いいのだ。
彼女が話す、愛については僕から見たら変なことだけれど、僕が昨日話したことも彼女から見たら変なことである。
見えないものを信じるーー……。
自分が見たこともないものを信じるのは思っているよりもずっと難しい。


