彼女は心に愛を飼っているらしい




午後の授業が終わり、HRも終えるとカバンを持って外へ出る。


今日もまた、家に帰るとすぐに勉強机に向かう


忘れてはいけない知識だけを詰め込んで、机の横に並べられた分厚い問題集を解く作業はいつまで続くのだろうか。


改めて考えてみるとなんだか機械みたいだな、と思った。


僕の歩く道はこの、道路の隅に引かれた白線のように決められている。

うつむいて、線だけを見てはみ出さないように歩いていく。

1歩、1歩と確かめるように踏み出していた時、目の前に僕のものではない靴が道を塞いだ。


「えいっ」


顔を見なくとも声だけで気がついた。

良くも悪くも彼女の声には特徴があるからだ。


「この線たどってるの?邪魔しちゃった」


ごめんね、なんて思ってもないことを言って肩をすくめる彼女にうんざりする。

ため息をついて再び歩き出してもどうせ、またついてくることは分かっていた。


「ねぇねぇ、さっき言ってたやつってどういう意味?前を見ててもどうせ見えないってキミ言ってたじゃない?やっぱりどうしても気になっちゃって」


何度これを繰り返しただろう。

これからも彼女が話しかけてくるならば無限ループのように繰り返すことになるんだろうか。そんなのはごめんだ。