聞いて後悔した経験が無いんだろうか。
きっと僕の話しを聞いたら気味悪がるだろうに。
「ねぇ、教えてよ。気になって次の授業に集中出来ないよ」
さらにしつこく聞いてくる彼女にどうやら余計なスイッチを入れてしまったようだ。
後悔してももう遅い。
彼女は目の前にある彩り豊かなお弁当には目もくれず僕の顔を興味深々に見つめる。
「しつこいな。そろそろ本気で怒るよ?」
「え!キミ怒ったらどうなるの?見てみたいなぁ。あっ、でもさっきの言葉も意味も知りたい」
呆れて物が言えないというのはこういうことか。完全に戦意喪失だ。僕は怒る気にもなれず、わざとらしく深いため息をついた。
箸で卵焼きをつまむ。
さっき彼女が美味しそうな顔をして食べていたことを思い出す。
機械的に作られた卵焼きは、彼女のものと比べてきちっとした長方形で丸みがない。同じであるのにまるで違うもののように見えるそれは、僕への愛情を指しているような気がさえした。
「…………」
僕はそれを口に運ぶことなく、そのまま箸をおいた?
「食べないの?」


