「迷惑なんだけど、」
「だって一人でご飯食べるの寂しいじゃん?」
「僕は寂しくない」
「私は寂しい」
にぱっと笑顔を見せて、鼻歌を歌いながらお弁当の包みを開ける。
きっと僕が何を言おうと無駄な気がした。
だったら彼女はいないものとして食べるのが一番いいだろう。
「今日の授業難しかったね、ついて行けなくて留年しちゃったらどうしよう。
ねぇキミは何の教科が得意なの?」
「…………」
「出来ないところをお互いが教え合うのもいいよね」
無視してうつむき加減で食べていると、彼女はポツリと言った。
「そういえばキミってよくうつむいてるよね。そんなにうつむいてると人の顔とか見れないよ?」
ぴたり、と僕の箸が止まる。
うつむく顔をゆっくりあげると、彼女は卵焼きを頬張ってもぐもぐと口を動かしているところだった。
「人の顔なんてうつむいてなくても見れないよ」
「え?」
初めて彼女のおしゃべりが止まり、僕の返答を待っている。
だけどそれ以上話すつもりは無かった。
「ねぇねぇ、それどういう意味?」
キラキラと目を輝かせて意味を問う。
彼女は自分の知らないことを聞くのに恐怖を抱かない。


