バカバカしい。相手にしてられない。
僕はまた歩き出した。
その時、僕の背中に彼女は問いかける。
キミにも夢があるんだね、と。
夢なんて、とっくに捨てて来た。
いや、今ではそれは夢ではなくて、ただの趣味だったんだと思うようにしている。
飽きたらもうやらない趣味。
僕がやって来たことはそんな程度ものだ。
「分かるよ、私には。夢を持っている人の気持ちが」
分かりっこないさ。
彼女のようにまっすぐで、人はみんないい人だろうと思っている人は、きっと恵まれて育ってる。
温かい家庭に育ち、好きなことを好きにやることを許された人。
自由に生きることが当然だと思って生きている。そんな彼女に僕のことが分かるはずない。
空気と馴染み、胸に流れ込んでくる彼女の声をかき消すように僕は心の中でつぶやいた。
夢はもうない、と。
僕は歩く足を止めず、振り返ることなく進んだ。止めてしまったら負けだと思ったからだ。


