「もしかして羨ましいの?」
「はあ?どうしてそうなる?」
「だって、そんな顔してる」
馬鹿げた考えに何か言ってやろうと口を開いたにも関わらず、それは見つからず僕は言葉を詰まらせた。
そのうちに彼女がふんっと鼻を鳴らして偉そうに言う。
「私の夢は誰にもバカに出来ないよ。バカにしていいのはそうだなあ……未来の自分だけ。
未来の自分が過去の自分の夢を笑いたくなった時だけバカにする」
何を言っているんだろう。と思った。
夢を持ち、バカにするのは自分じゃなくて他人だろう?
彼女の考えはどこかズレている。
「他人やこの世界に生きる自分は絶対自分の夢をバカにしちゃいけないの」
「それ誰が決めたの?」
「私。たった今決めた」
彼女は笑顔でそんなことを言う。その時、僕は〝ハッピーエンド症候群“という言葉を思い出した。
少し前テレビで誰かが言っていた言葉のことだ。登場人物全てを幸せにすると言った言葉で、幸せにするためには、自己犠牲することすらも許されないのだという。
きっと彼女はそれに違いない。そうじゃなきゃ、普通こんな平和な甘ったるい考えはしないだろう。


