私の恋日記



えっと、私は恋をしてます。
その人は誰って??




「はい、席について〜。HR始めるよ〜。」



先生なんです!




「はぁ。今日も吉野先生かっこよすぎるぅ!」



朝から好き好きオーラ全開の私、

神崎花 (かんざき はな) 高校2年生


「毎日毎日、飽きないね〜。どこがいいか私には分かんないわ」


この子は雪ちゃん!

私の恋を唯一、応援してくれる人



先生を好きなんてダメだし…おかしいって、皆んな言うの。でもね、雪ちゃんは違った。

「そうなの!?気づけて良かったね!応援するよ!!」

すごく嬉しくて、泣きそうになったの。

だから、雪ちゃんはとっても大切な友達




えっと、私の好きな
吉野先生は音楽の先生で、ピアノがすっごく上手なの!!
勉強もスポーツもできちゃう完璧な人で…
その上に顔もかっこいいんだ〜

うへへへ〜、にやけるよ〜


「あ、今日花って保健委員会の発表で司会があるんでしょ?」


雪ちゃんが思い出したように私に言ったんだけど…


「雪ちゃぁん!私、吉野先生に見とれてすっかり忘れてたよぉぉ」


ど、どうしよう…

保健の先生が、「神崎さん、よろしくね!」
って頼ってくれたのが嬉しくて…

「任せてくださいっ!」なんて言うんじゃなかったよ!


そんな私の緊張はそっちのけで、ゾロゾロと体育館に移動し終わっちゃった。



雪ちゃんに何度も「大丈夫」って言われたけど…やっぱり無理だよ!


「う、どうしよ。緊張でもう無理。」


「神崎、大丈夫?」


吉野先生!う、うわぁ。ち、近い。


私の椅子の前にかがんでる先生との距離は近くて…
違う意味で心臓がやばいです!


「だ、大丈夫です!」



「皆んな神崎の仲間だから、大丈夫だよ」


優しい先生の言葉が、すぅっと私の心に溶けてく。

あぁ。緊張が溶けていく。


「はい!」





先生の言葉のおかげで無事に終わり、

皆んなの反応もすごく良くて、私のテンションは上がりっぱなしです!


「ふふ、雪ちゃん!私ね〜今日は人生で一番嬉しい日だと思うんだぁ」


「あのね〜、嬉しいのは分かるけど!休み時間のたびに言わないでくれない?」

あら、冷たいこと!

「だってぇ、うへへへ」

でもね?にやけが止まらないよ〜


「神崎〜」


ピシャっ


こ、この声わ。


「あら、花?ちょっ、固まってる」


先生が笑顔で話しかけてくれてる。

「今日はお疲れ様〜」


バッ。

恥ずかしくて、雪ちゃんの後ろに隠れずにわいられないよぉ。


雪ちゃんの後ろに隠れながら、

「あ、ありがとうございます!」

もう、これがいっぱいいっぱいだよ。


「すみません先生〜あははは」

「いやいや、」

雪ちゃんが先生に謝ってる…


先生も苦笑いだし!







「ゆ、雪ちゃん。先生にバレたかな!?」

「いやいや、最初からバレてるでしょ」


う、うそぉ!!


「どどどうしよう!」

「なにが?花はもっとぐいぐい行かなきゃ!」

「でででも!」


先生…私が好きって気付いてるのかな。


「ほら、花!帰るよ?何ぼけーっとしてるの?」


「ふぇ?もう帰る時間!?ってやば!私今日塾だよ!」


帰って急いで塾に行く支度して、
もうクタクタです!


「ふぅ、今日は色々あった気がする〜」

授業も全然集中できないよ


先生が席を外すと、
男子がザワつき始めた。


その理由はね…



「野村〜、お前神崎が司会してた時にやけてたろ!」

「に、にやけてないし!」


はぁ。わざと私に聞こえるように言うの。
私はもちろん聞こえないフリ。


全然嬉しくない。先生じゃなきゃ意味ないもん。



先生に好きって言いたいよ…



よしっ!明日からはもっとアピールしよう!
くよくよしてるの、私らしくないもん!






「雪ちゃん〜!おっはよ〜」

「おはよう、花!」

よし、頑張るぞ〜!!意気込みバッチリ!

「花。あのね」



「な、なに?」

雪ちゃんが深刻そうだ…



「噂なんだけど、吉野先生ね…



彼女いるんだって」





「はぁ、はぁ。」

私は走ってた。全速力で。


行き先は、第1音楽室。新しい第2音楽室が出来てからほとんど使われてない教室。

でもね、


ガラっ


「神崎!?どうした?」


ほら、やっぱり。吉野先生がいた


もう、逃げたくない。


「先生、あの、」


「ん?どうした?」


優しい返事を返してくれる。



私が先生を好きな理由。それは、


私が高校1年生の時





「ど、どうしよう。朝寝坊して入学式遅刻しちゃった。それにどこがどこか分かんないよぉ」



〜♪


綺麗な音。


私わその音につられ、ある教室に辿りついた


第1音楽室


ガラっ


ふわぁ


優しい風と、優しい音色、


「あ、あの!上手ですね、ピアノ」


「ありがとう」

それと優しい笑顔の男性


「新入生かな?」

「は、はい!」

「サボりかな?」

「寝坊しちゃって…」


ダメだぞ〜ってクスクス笑う男性の姿に

一目惚れしてしまった私。


「先生ですか?」


「そうだよ?一応ね」

「一応って〜、そう言う先生は入学式に行かなくていいんですか?」


「いいんだよ。先生は」


「え〜、」


「それで?迷い子かなんか?」

「は、はい。お恥ずかしながら…」

うぅ。この歳で迷い子とか絶対笑われるよね。


「じゃぁ、ラッキーだね。生徒第1号だ」


先生からもらった、最高のプレゼント。



生徒第1号。







「先生、覚えてますか?私が生徒第1号だって」


「あ〜懐かしいな、覚えてるよ?大切な思い出だもんな〜」


懐かしそうに笑う先生、

先生、吉野先生。好きです。ずっとずっと。

好きって伝えちゃダメですか?


「せ、先生〜。うぅ。ふぇっ」


ポロポロ目から涙が止まらないよぉ


「か、神崎?どうした??」


先生、困ってる。でも、もう無理なの。


「彼女がいるんですか?」





「いるよ」








「で、ですよね!やっぱり、そうですよね!先生、カッコいいし!あ、私、そろそろ…戻らなきゃなの、で」


や、だ。もう、涙が溢れるの


私は走り出してた。
でも、先生は私よりも走るのが速くて、すぐに追いついた。



「はぁ、待って神崎。何かあった?」


「先生、手…痛い、です」


痛いなんて嘘。手を繋がれただけで嬉しくて、恥ずかしくなるのに…
でも先生は優しいの

「あ、ごめん!痛いよな。痕になってな
い?」


「はい、大丈夫です。」


大丈夫。先生を困らせたりしない。
落ち着け。落ち着け。落ち着いて。
ドキドキが先生に届くな。

隠して。


「神埼?大丈夫か?」


「先生!私、好きです!」


「え?」



「先生の演奏するピアノが!」


先生、好きです。
でも、終わりにしよう。








その後は、いつもみたいに先生と話をした。
逃げ出したくて、泣きたくなったのを必死にこらえて。


教室に戻った時は授業が終わってて、昼休みに入ってた。


「花!どこにいたの!?私心配し、て…花?」


「うぅ”、ゆき、ちゃん、せん、せいにね
ふぇっ。も、もう無理だよぉ」


「花…よし!屋上行こう!ね?」


「ゔんっ」



それからは時間を忘れてひたすら泣いた。
雪ちゃんはただ「花はちゃんと先生が好きだったよ」って、その言葉がすごく嬉しくて、また涙が溢れた。

「頑張った」でも「お疲れ様」でもない。
先生への気持ちを理解してくれた。


雪ちゃんはやっぱり私の親友だよ。
ありがとう




「おはよう!花〜!ね、今日放課後一緒に買い物付き合ってくんない?」


雪ちゃん、私に気遣って普通にしてくれてる。なんて優しい子なのっ!!私もくよくよしない!


「うん!楽しみだね〜!」


雪ちゃんと放課後の話をしてると、
仲のいい男子、片山が話しかけてきた。


「神埼〜!な、この前の小テストどうだった?!」


「ふふん!今回は勝たせてもらいますよ!」


「俺だって負けねーし!」


「「せーの!28点!!」」


「ぶっ。あんたらのレベルの低さには呆れるわ!」

雪ちゃん。笑すぎだよ。
確かにね?50点満点のテストで28点って低いよ?低いよ…低いね。


「また一緒かよ〜」

「何かここまで一緒だと運命感じるよね〜」


「え?あ、うん///」


「なに?なに照れてんの〜?そんなに嬉しい〜?」


「片山、可哀想に…。花、やめておけ!」


「山本うっせーよ!悪かったな!ヘタレで!」


「ん??何?何の話〜?教えろー!!!」


「「ぎゃー!!」」


私は思いっきり2人に抱きついてやりましたよ!

ぎゃーって…酷くないですか!?







「神埼〜!先生呼んでるぞ!」

「え?う、うん」

何のようなんだろ…

「花、大丈夫?私もついて行こっか?」


「ううん!大丈夫!ありがとう、雪ちゃん!」


ガラガラ

「失礼しまーす」


「あ、神埼!わざわざごめんな。」


「い、いえ。それで話って、あの、なんですか?」


ゴクリ。
もしや、バレた!?そうだったらどうしよう…



「神埼?大丈夫?」


「ふぇ?あ、大丈夫です!」





「これから2週間、放課後先生の手伝いに付き合ってくれない?」




「ふぇ?」



「いやぁ、こうゆうことって神埼にしか頼めなくてさ!」



私にしか?本当?