プラネタリウム

「おっはよ〜」

そう言いながら1年1組と書かれた教室に入っていく麻衣と、その後ろに続く私。朝からこの教室は騒がしい。

黒板に目を移すと、
『日直、数学のワークを集めて持ってくるように。西島』
と書かれている。
日直って私じゃなかったっけ?と黒板の端に目を移すと、やはり日直という文字の下に私の文字が書かれていた。

「朝から仕事か…」

そんな言葉とともに、カバンを机に置く。自分の数学のワークを鞄から取り出してから、周りを見る。私は徒歩通学だから時間ギリギリにくるからか、すでにほとんどの人が教室に揃っていた。

(一人一人まわって集めるか)

そう思い、まずは麻衣のところへ向かう。

「麻衣〜ワーク提出して〜」

というと、はい、とワークが手渡される。朝からお疲れ、という言葉とともに、ふっと笑う麻衣はやはり美人だ。

(さ〜て集めるか)

時間もないのでさっさとやってしまおうと、朝から騒いでる男子、本を読んでいる女子、一人一人に声をかけて、なんとか8割を集めた。残り2割はやっていない。とのこと。

(後は窓側に寝てる男子・・)

寝ているところを声をかけるのも気が引けて、まだ声をかけていない。しかしワークをもらわないと私の仕事も終わらない。

「あの。」

そう声をかけて見るものの、反応はない。
(喋ったことないんだけどなぁ)
そう思いながら、彼の名字を口にする。

「赤葦くん」

んぁ。という変な声とともに向けられる視線。眠そうだな。

「数学のノートを提出してほしくて。」

手短に用件を伝えると、あぁ、と言いながらカバンを漁る。

「はい。」

という言葉とともに渡されたワークには、赤葦慎二の文字。

「綺麗な字…」

「ありがと」

えっ私声に出てた?そう思いながら赤葦くんを見ると、少し照れ臭そうに横を向いている。

「それよりあれ運べんの?」

あれ、とは教壇の上の机に積まれている数学のワークだ。集めてる途中に重くなって、机の上に置いた。

「あ〜、うん。なんとか。」

そう言いつつ、正直結構きつい。麻衣に手伝ってもらおうかとも思ったが、朝から勉強中だったのでやめた。きついというだけで持てないわけじゃないし。
すると赤葦くんは黙って席を立ってしまった。自分から聞いてきたくせに変なの。などと思いつつ教壇に向かうと、赤葦くんはなぜかワークを抱えていた。