「ただいま。」
そこへなにも知らない咲都が帰ってくる。
「おかえり。」
「おい、咲都、聞け!」
「あぁなんだよいきなり。」
「やっぱり彩羽は悪くなかったんだよ!悪いのは心優なんだよ!」
爽が言う。
「は、どういうことだ?」
咲都は意味がわからないという顔で、爽を見ていた。
「あれね、私の自作自演なんだ。ごめんね。」
私はおどけたような口調で言う。
「私、姫になりたかったんだぁ。1日だけでも。だからさぁ嘘ついちゃった。」
「嘘ついちゃった。じゃねぇだろ。」
「わかってるよ。私が悪いんだよ。だからちゃんと、ここから出て行く。彩羽を姫に戻してあげて。」
「それで済むと思ってんのか。」
と、咲都。
顔見なくてもわかるほど怒ってる。
「それで済まないって言われても、私にはどうにもできないや。」
私はまだおどけた調子で言う。
でないと、泣いちゃいそうで。