そんな彼女のことが僕は好きだった。
いや、過去形ではないな。


そんな彼女のことが僕は好きだ。


これといって容姿が美しいわけでもなく、何か優れているものがあるわけでもない。

釣り合わないにもほどがある。勘違いも甚だしい。

自分でも悲しいほどわかっていることだ。

だけど、それでも、惹き付けられずにはいられない。彼女に。

きっと僕は甘い香りを放つ美しい華に哀れに引き寄せられてしまった虫なのだ。