彼女は華のようだった。

少し歩けば甘い香りを漂わせ、人々の鼻腔をくすぐる。そして、香りにつられその姿を見たら惹き付けられずにはいられない。

雨上がりの華のように儚く美しい容姿。

彼女の名は雅 百合子。

名は体を表すという言葉は彼女からきたのではないかというほどぴったりな名前だと思った。

遠くからでも手入れされてるのがわかるツヤのある真っ黒な長い髪。
その黒い髪に相反するように真っ白で透明な肌はビスクドールを彷彿とさせた。

顔立ちは通り過ぎる者全てが振り返ってしまう程の美貌。

当然学校では男子生徒から多大なる人気を集めていた。だが、あまりに美しすぎて、神々しすぎて、近づく者はほとんどいなかった。

それほどに彼女は人間離れした美しさだったのだ。