私は六花(りっか)。
恥ずかしいけど、恋してる。
「やぁ、橘(たちばな)さん。」
橘は私の苗字だ。
「桜井先輩、久しぶりですね。」
この人が私の恋の相手、
桜井優先輩だ。
桜井先輩はスポーツが出来て、
サッカー部だ。ちなみに私はサッカー部のマネージャー。
先輩にあこがれて入ったけど、問題があるの。
「あっ!優くんだー。」
遠くから女の子が手を振ってる。
(げっ!来た!!)
私は誰が来たのかわかった。
「こんな所で会うなんて運命感じるー♡」
(そりゃー会うでしょうよ!
ここ学校なんだから!)
私は心の中でその言葉を全否定する。
だってこいつは佐藤かなっていって、桜井先輩の取り巻き。
桜井先輩にはいつも、カワイコぶりっ子してる。
佐藤先輩は結構男子に人気がある。
まぁ、フワフワの髪や、大きな瞳が嫌いな男子はほぼ0だからね。
言いたくないけど、結構可愛い。
この人もマネージャーやってるんだけど、問題は
そこじゃなくて絶対桜井先輩狙いって事!
洗濯とかしないくせに、桜井先輩がいる時だけ、
頑張っちゃってさ。ずるいよ。
(だからさ、佐藤先輩は!)
色々考えてると、2人いなくなっていた。
(最悪!桜井先輩とあえたのに!)
「六花!」
声がした方向を見る。
「美琴!」
そこにいたのは親友の美琴だった。
「朝っぱらからやっちゃったね。」
美琴は哀れみの目を向けてきた。
「美琴見てたの!?」
六花は思わず叫ぶ。
「ちょっ、静かに。」
口をふさがれた。
「見てたなら、何で言わないのよ。」
小声で言った。
「しょーがないでしょ。メッセがきたんだから、
返信してたの!」
はぁと、美琴は息をはく。
(メッセ……かぁ。)
六花はケータイを持ってない。
(もう中1なのにさ。)
ケータイは六花のあこがれだ。
キラキラしてて、友達と、メールができて、
これなら先輩とも……。
はっといい考えがうかんだ。
(これなら……!)
ー放課後ー
「先輩!
ケータイ番号教えてください!」
桜井先輩に、六花は言った。
(これなら、いつでもかけれるもんね。)
六花はにやける。
先輩は少し驚いていた。
「ちっ違うんです、これはその、コミュニケーションとか、
そういうものでっ、大切な時にしか、かけませんからっ。」
かァァァと六花の顔は紅くそまってく。
「……」
無言の桜井先輩に、六花は少し
断られるかと思い、ドキドキする。
少し、間をたったら、先輩は笑いだした。
「あははははっ。」
先輩は目に涙を浮かべるほど、笑った。
「いいよっ。これ、僕の電話番号。」
紙を差し出してもらった。
「ありがとうございます。それで、その……」
紙を受け取り、嬉しいけど、六花には言いたいことがあった。
「大切な時以外にも……かけていいですか?」
先輩はにっこりわらってくれた。
「もちろんいいよ。」
(やったァァァァ!)
心の中でミッションをクリアしたように感じる。