そして、遂にその時は来た。
 自分たちの教室のドアと窓の鍵を閉める。
 運が良かったことにドアにはガラスの部分が無く、窓には遮光性のカーテンがあったので部屋の中は完璧に真っ暗にすることができる。
 蝋燭をつけて、蛍光灯のスイッチを消す。
 みんなの口数はいつもより極端に少なくなっていた。
 このような体験をすることが初めてだし、暗い部屋が蝋燭で照らされるという一種の幻想的な光景に呑まれていたこともあった。

 そして、いよいよみんなで輪を作り、手を繋いだ。
 その時にK君はAさんと手を繋ぐことができたので、別な意味でも胸が高まっていた。