今の私はというと、先生を見ないように目を泳がせ、顔は真っ赤でどうしたらいいか分からない状態。

つまり、プチパニックに陥っている。

そんな私をしばらく見つめた先生はまた小さく笑い、私の頭を撫で、ゆっくり手を離した。

「じゃあな。体育遅れっぞ」

そう一言いい、先生はゆっくりと帰っていった。

「……」

先生が見えなくなっても、私はしばらく動けなかった。

それは、6時間目のチャイムが鳴っても同じことで、美紀が私の肩を軽く揺すると、ハッと私は我に帰った。

「美紀…」

「裕子。顔…かなーり真っ赤だよー」

「んなっ!?」

真剣な顔で言っていた美紀は、だんだんニヤリと意地悪そうな顔になり私を茶化す。

そんな美紀に、私は更に顔が熱くなるのを感じ手で頬を隠した。

「それにしてもー……ふふ」

何かを言おうとした美紀は、自分の言葉を自分の笑い声で遮った。

続きが気になるも、今の私は、赤くなった顔を冷やすのに必死になっていた。

「……ヘビスモ先生、裕子のこと、かなーり気に入ってるようだねー」

かなり必死になっていたためか、そんな美紀の言葉は私の耳に届いてはいなかった――…。