桜井が、強行犯係の部屋に戻ると部下の一人葵 伊波から電話が入った。「係長。横須賀四丁目で強盗事件です。後、桜坂五丁目で殺人事件です。暗衣と牧長には、強盗事件の方に行かせました。俺は殺人事件の方に行きます。係長は」「俺も殺人事件の方に行く」「分かりました」
殺人事件が起きた現場は泥棒に入られたかのように散らかっていた。「被害者は、青木 鷹郎26歳。」「青木 鷹郎てまさか」「はい。10年前の幼児暴行殺人事件の容疑者です。」「あれはたしか」「南 勇気君が妹の誕生日ケーキを買いに10分ほど家を留守にしていた間に妹のみきちゃん5歳が殺害された事件です」「伊藤警部補。いつ戻ってきたんですか」「昨日だよ。まさか次の日に待っていたのがこんな事件とは思わなかったがな」「そういえば、伊藤警部補は10年前の事件の担当刑事でしたよね」「あー、勇気君は自分を責めてな。もう見ていられなかったよ。」伊藤警部補は、思い出しながら言った。「勇気君は今何を」「亡くなったよ。3年前交通事故で」「そうですか」三人は静かに遺体の周りを調べた。「鑑識これは」桜井は一つの小袋を指しながら言った。「あー、それ麻薬です」「麻薬…」桜井がその小袋を見ていると「桜井係長。それ触っていいです」と後ろから声がした。「赤木」赤木は元強行犯係の刑事で現鑑識だ。つまり昔は桜井の部下だった。「桜井係長。お久しぶりです。それに伊波も」「郎助。触ってもいいか」「どうぞ」赤木は言うと違う鑑識の人に話しかけた。「係長。ちょっと見てください。」伊波が遺体の手を桜井に見せた。「これは…鑑識にもっと調べてもらえ」遺体の爪の間に人の皮膚が挟まっていたのだ。「分かりました」伊波は鑑識に話しかけた。