さあ、お話を始めましょうか。
とても馬鹿げたつまらない話。

この世にしがみ付くは、この少女。
美しくも醜くも無い。
髪は癖が強く絹糸のように細くよく絡む。
何度この髪を引きちぎろうとしたことか。
肌は弱く、常になにかしらの悩みを抱え、持って生まれた良いものなど、なぁんにも無いと言う。強いて言えば、このぱちくりとした眼、くらいか。しかし、これも二重の幅が上手くないと宣う。

金は無い。
医者の娘は、あんなにも一等良いものをなんの苦労もせず頂けるのに。私にはあくせく働いても、泣き喚いても手に入らない。生まれや育ちとはこのように残酷なものなのか。
なぜ、私のご両親はこの状況に甘んじられるのでせうか。家は幸福もなにもあったもんじゃない。

幼い頃から常に周囲に虐げられて来ましたので
成人した今、その曲がった性根を隠すのに必死…。そもそも、こんなにも歪んだ私は、一般ピーポーに溶け込むだけでも、大変な苦労なの。
そんな方々の好みそうなものをお勉強して、それを好きなの!!って言い続けていても完全には溶け込めないし、自分が無くなりそうになるのよ。

一度絶望を味わったが、
ここまで浮上して参りました。
生きているというよりは、生かされた、といったほうが正確でしょうねぇ。
自分の力では、なに一つ解決しておりませぬ。
この幸せは自分で手に入れたと勘違いしているやも。改めて考えれば、時間と男が、勝手に解決してくれた。

懐古と悔恨は得意なの。