僕はすかさず田原を無視して先程芯が折れたえんぴつを削ろうとしたら、彼は再度同じ質問を問いかけてきた。

「話戻すけどなんでえんぴつなん?雅臣そんなの前から使ってたっけ??オレ達高校生なんだからシャーペン使おーぜ!」

「いや、遠慮しとくよ」

「何故ッ!!!!」

「そんなに驚かなくてもいいだろ。それに好きなんだよ、この木の香りとか握り心地がね」

雅臣は、今自分が握っているえんぴつを
眺めながら涼やかな笑顔でそう答えた。

「ふぅん、そこまで言うならオレも使ってみようかな」

そう彼はにこやかに言った。

「それなら、僕のえんぴつを貸すけど?」

「おおっ!マジか!んじゃ、早速使わせてもらうぜっ」

雅臣は田原に2本のえんぴつとそれを削る道具を一緒に渡した。

「うひゃーこりゃ懐かしくてたまんねーなっ!!あんがとよ」

彼はえんぴつを握りしめハイテンションで自分の席へと戻っていった。

「……確かにえんぴつ好きだが、そこまでテンションあがるかなぁ…?」

雅臣は軽く引き気味にそう呟いた。