夕焼けと、花と、君と。

閉ざされた日常
夕陽が登って行く。あぁ…。また、今日の半分以上が終わっていく。
私、小坂夕夏(こさかゆうな)。笑顔と、心と、希望と、全てを失いかけている中学2年生。失いかけているなら、別に大丈夫だと思ったら、大間違い。私には大きな悩みごとがある。誰にも言えない、いや、言えやしない。もう一人の私、双子の妹の小坂真夕(こさかまゆう)は、今、入院している。原因は、私。つい1か月前、私と真夕は、散歩をしていた途中、軽トラと遭遇し、真夕は、私をかばって事故に遭ってしまった。医師によると、どうやら脳に大きいダメージをくらい、脳のほとんどの機能を失っていると告げられた。それを聞いたとき、私は、頭が真っ白になり、ショックで倒れてしまった。気がついたら、自分の部屋のベッドにいた。
「夕夏、起きた?」
「お母さん…真夕は…」
「大丈夫よ。病院で眠っているわ。じゃあ、お母さんもう寝るわね。」
「うん、おやすみ…」
パタン…。ドアが静かに閉められた。暗い部屋で一人、考え込んでいた。もし、真夕がこのまま起きなかったら私はどうなるんだろう…。ダメだ!そんなこと考えちゃ。真夕は頑張っているのに。私は早く戻って来てくれるのを待つだけ。なんて無力なんだろう。なんで真夕を支えることができないんだろう。ただただ不安に、悲しくなってくる。そんなことを振り返りながら、帰る道。1人で帰る道。楽しくも、さみさしくもない。ただ悲しいだけ。この田舎の町の帰り道を幼稚園、保育園の時から、ずっと家族で、もしくは、真夕と歩いていた。誰かと歩いてると景色とか目に入らないけど、一人だと、夕焼けの空が美しく、そして、すごく悲しく見える。いつも綺麗と言っていた花さえもこんなところに咲いて哀れだなと思った。小さくて、今にも風に吹かれて散っていきそうな花びら。何の花かはわからない。ただ可哀想に思っていた。そして、やっと家に帰ってきた。今日はちょっとのんびりしたかな…。リビングにいるお母さんに話しかける。
「ただいま」
「おかえり。今日、ノー部活デイね。」
「うん。」
そう言って、階段を駆け上がって、自分の部屋に駆け込んだ。机の上には、真夕がくれた花柄の筆箱があった。そういえば使ってなかったな…。真夕は基本花柄が大好きで、庭の花の水やりも毎日欠かさずやっていた。今では、水やりは、たまにお母さんがやるだけで、後はほったらかし。ふと、窓から見下ろすと、庭の花が見えて、何か前より少ししぼんでいるように見えた。真夕がやってくれていたありがたみが花から伝わる。明日、やろうかな…。今日は色んなことを振り返って考え込んだりしたから疲れたから寝よう。そうして、私は眠りについた。