恋愛狂想曲




「きゃ!?」

急に引っ張られて、秀の上に倒れた。


「いった……何すんのよ!!しゅ……」


一瞬、言葉を失った。

見下ろした秀の顔は、秀の目は、涙でいっぱいだった。


「・・・勝手に、人の気持ち解釈してんじゃねえよ。」

「・・・・・・え?」

「俺が、どんな気持ちでこの日まですごしてきたか、知らねえだろ。1日でもメールとか電話してなくちゃ、そんなことで繋がってなくちゃ、不安で。」

「……秀?」

「本当は、心優と電話してるとき、何度も帰って来いよって言いそうになった。すんげえ会いたくても、耐えてた。」

「本当?」

「今日だって、返したくねえよ。ずっと、こっちにいてほしいよ。」


ねえ、また、涙が溢れてくるよ。


「でも、心優の夢じゃん、応援するしかないじゃん。そこんとこくらい、良い彼氏じゃないと、捨てられそうで。」

「・・・うん。」

「心優、どんどん綺麗になるんだもん。不安で仕方ねえよ。」

「ね、秀。男の人は、涙を見せちゃいけないんだよ?」

「・・・うっせえ。」

「ね、秀、あたしは、秀だけだよ。」


なんだ、やっぱり一緒じゃない。
あたし、秀の気持ち、見ようとしなかった。


電話で時々詰まる秀の声を、聞こうとしなかった。



「今日は、返さない。」

「うん。」

「覚悟しなよ?」