「秀は、止めないんだね。」
「え?」
「あたしは、ずっと秀に会いたくて、離れてるのつらいよ?少しくらい、とめてくれたって、いいじゃない。」
「――おい、みゆ……」
「もういい、秀の気持ちなんて、そんなもんなんだね。あたしはすきで好きでたまらないのに。」
「・・・心優?」
「ショートカットの女の子と仲良くしてれば。あたし以外の女の子、この部屋に入れてればいいじゃない。」
くやしい。
こんな気持ち、あたしだけで。
あたしの知らない秀がいて。
「もう知らない、帰る。送らないで良い。」
駄目だ、もう、あたしたち終わりだよ。
もうちょっと、あたしが大人だったら。
終わらなかったかもしれない。
でも、あたし、弱いんだよ。
こんなの、耐えられない。
帰ってきて、気持ちの整理なんて全く出来てない。
逆に、悪化させただけだよ。
今にも溢れそうな涙をこらえて、スッと立つ。
荷物をまとめて、秀に背を向ける。
顔も合わせてくれない。
そりゃそうか、もうあきれたよね。
自分勝手すぎるよね。
秀の部屋のドアを開ける。
もう、終わりなんだ……。
長い付き合いでも、終わりはあっけないな。
ガチャ、秀の部屋を出て、ドアを閉めようとした、のに。
秀に右腕を掴まれ、引っ張られた。

