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カフェが2階であることを恨んだのは初めてかもしれない。
睦月さんに会うまでにどうにか落ち着いていないと思うのに、すぐに着いてしまうから。
(落ち着け、落ち着け)
胸元に手をおいて深呼吸なんていつぶりだってことをくり返しながら腕時計を確認する。
気付けば20時半を回ってしまっていた。
(どうしよう)
(20時あがりっていったけどさすがに遅くなりすぎた)
まずは真っ先に謝ってそれで――――
「………ついちゃった」
考える暇もなく左右に開いたエレベーター。
最後にもう1度深く息を吸い込んで、1歩外へ出た。
各フロア層への専用エレベーターは半円を描くように配置されており、エントランス中央部に据えられた総合受付のさらに奥にある。
そういえば具体的に落ち合う場所を睦月さんは言っていなかった。
エントランスで待つと、それだけで。
(中央より出入り口側だとは思うけどいちおう……)
確認のためとっさに携帯を出しかけて気付いた。
(睦月さんの番号とか何も知らないじゃん)
番号をきかれる前に、個人的なお誘いを受けるのは初めてだ。
私が知ってるかぎりの睦月さんらしいといえばらしいけど、さすがに落ち合うには不便かも。

