「かっこわるー」
「えっ」
思ったことを見抜かれていたのかと思いっきり上坂くんを振り向いた。
上坂くんはにこっと笑うと、街灯でネイビーとわかるマフラーを鼻まで上げる。
寒いのか、軽く鼻をすする音がしたあとこもった声が続いた。
「まわり見えなくなってさー超かっこわるいじゃんおれ」
(あ、さっきのことか)
「気ィ遣わせてごめんね、いつきちゃん」
上坂くんはまた笑った。
いつもの笑顔に戻っていて正直ほっとする。
「気にしないでください。好奇の目で見られるのが嫌だっただけで」
でも何となく目を逸らしてしまうのは、さっきまでの上坂くんが焼き付いて離れないからだ。
自分がそれなりに可愛らしく整った顔立ちをしていることを理解している、お調子者で今時の大学生。
私が知っているのはそれだけで。
(……あんな上坂くん、知らない)
「おれがあれ以上好奇の目で見られないように、止めてくれたんでしょ?」
そして自然と上坂くんの手が私の手に重なって―――

