「……ごめん上坂くん、勝手なことして」
「え?……あー、いーのいーの」
何も知らない私が割って入っていいことじゃないのはわかるけど、あれ以上あの場にいたら上坂くんは本当に睦月さんを殴っていたかもしれない。
そうなると騒ぎが大きくなって、バイトをやめさせられるどころか大学に何かあったらと思ったのも本当だけど……
「でしゃばった真似して、ホントごめん」
全部自己満足からくる正義感に過ぎない。
すると、人2人分は距離があったはずの上坂くんがすぐ隣に寄ってきた。
「……近くない?」
「タメ語だ」
「え」
「いつきちゃん、敬語抜けてるね」
「あっ間違えた」
(しまった。つい)
立ち上がりかけた私の手を、上坂くんが握ってまたベンチに戻す。
あまりの自然さにうっかり従ったけど慌てて手を振りほどいた。
大学生に手を握られて狼狽えるなんてかっこ悪すぎて、何てことないように立て直す。

