立ち止まると、それまで文字通りバッグ越しに引っぱられ続けていた上坂くんがゼェハァしている。
フラフラと歩道の端に寄った上坂くんに、とりあえず謝った。
「えーと……ごめんね?」
「なんで疑問形……てか、マジ痛かったしつかれたんだけど……」
ビルから駅までは広くて綺麗な歩道が整備されていて、間隔をあけてベンチが置いてある。
そこに座り込んだ上坂くんに待っててと伝えると、すぐそばにある自販機でスポーツドリンクを買う。
ペットボトルの蓋をあけ、浅くて早い呼吸を繰り返す上坂くんに渡した。
「はい慰謝料です」
「……ありがとー……」
いつもみたいにふざけ半分で「足りない」とか「もう1本くんないの?」とか言わない。
素直に受け取って、半分以上飲み干した。
座っている上坂くんを見下ろし続けるのも居心地が悪くて、ベンチの逆端に座る。

