『何…離してよ!!』


紫苑の腕の中から抜け出そうとしても
力が強過ぎて出られない。

そして、紫苑の視線は別の方向にあると知って
同じ方向を見る。


「落ち着きなさい、天空。」


そこには、
朱音さんに押さえられている天空の姿。


「離してよ…母さん。」


「駄目よ。
離したら信歩ちゃんと紫苑くんが怪我するわ?」


「殴んないと気が済まない!

コイツ…『双姫』の事何も知らないくせに、
母さんがどんな想いでッ!!」


ビクッ!


その気迫にようやく分かった。

さっき口走った事で天空が私を殴ろうとして
紫苑が守り、朱音さんが止めてくれたんだと。