朱音side


「母さん、あの鍵ってさ。」


天空が何か言いたそうにしている。


「そうよ。
信歩ちゃんに渡したのは紫苑くんの家の鍵。

【売り払ってくれ】と渡されたね…。」


戻る事はないと思ってた家、
ご両親と過ごした思い出が詰まっている。

思い出は怖い。

時として力となり、
時として…残酷なものになるから。


「それでも言った筈よ。
「決して目を逸らさないで」と…。」


あれは、紫苑くん…貴方にも向けた言葉だから。


朱音sideEND