身体に受けた凄まじい衝撃。

幼かった俺と捺央は気を失い、
目が覚めた時には病室に居た。

そこで…両親の死を宣告され、声を失った。


嫌な思い出程記憶に残る。

忘れたいのにあのブレーキ音や衝撃。
そして、断末魔の叫び…。

信歩も俺と同じ筈なのに
苦しみながら前に進もうとしている。


それに比べて俺は、前に進んだフリをしてるだけだ。


目の前で好きな女が居る浮ついた感情と
過去を引き摺る暗い感情が
交差するのを考えない様に目を閉じた。


紫苑sideEND