ピクリとも動かない男から直ぐに皆へ視線を向ける。


ギュム!


『むご!?』


いきなり顔を両手で覆われて変な声が出た。


「…ッ……!……ッ………!?」


手帳に文字を書く余裕すらないのか
紫苑が出ない声で何か伝えようとしている。


『だ、大丈夫!怪我一つしてないから!!』


私がそう言うと安心した様に笑う紫苑。


ドキ…


その無邪気な笑顔に胸が高鳴った。