そして、当日を迎えた。図書館やショッピングモールなどの公共の場でわいわい騒ぐわけには行かないので言い出しっぺの俺の自宅で会うことにした。誠也の自宅から住宅街は遠いのでそこは申し訳なく感じるが。9時前後には全員が集合していた。
 まなみ、誠也、最後に奈央と初が来た。どことなく不穏な雰囲気が漂っていたが俺は若干声のトーンを上げつつ、
「ではでは。俺たちを救う話をしよう」
少しだけ、沈黙が走る。
「救う話?」
「既視感を覚えるけど」
「そそ、そんな話だよ。今度は俺らに戻る話な」
4人はそれぞれに目を見開いていた。そりゃそうだろう、2年前の今頃奈央が持ってきたくらいの衝撃はあると思う。
 俺は説明を始めた。
「俺らが中3のときに考えたあだ名。俺だったらクラ、みたいな感じの言葉の意味をかみ砕いて、自分がそれに縛られていないか確認するんだって話よ。分かった?」
まなみは控えめに頷く。奈央、初はお互い顔を見合わせ頷いた。誠也は
「ということは大人になろう集会みたいなもん?」
「そそ。頭いい誠也は違うなぁ」
「なるほどねぇ」
いつもより反応が薄いななんて思いつつ、それぞれが出したメモ兆を眺める。内心、はバクバク今にも倒れ込みそうな緊張だ。