「あいよ」
しばらくしたら詳しい予定の相談がくるだろう。俺はひたすら2年前になってしまった記憶を頼りにネット検索をしながら、考えていた。誠也は期待に応えすぎてつらくなってしまっているからヒーローのヒロ。初は消極的で家族の中でもひっそりとしてるからいない子、ロストワンのロス。まなみは過保護的な愛されすぎる家庭で自己主張を覚えられなかったプリンセスの姫。俺は皆が笑うためにへらへらとしてるくせに色々考えてしまう貧弱メンタルピエロ、クラウン、のクラ。そして奈央は、なんだったかな。リトではなかなかヒットしなかった。
 そんな苦戦してる数時間後、初から連絡が来、近々予定が組める状態だという報告がきた。流石初である。俺はまなみの説得にかかっていた。そして俺の計画通り、2週間後の日曜日、遊ぶことになった。

 初とだけはこのことに関して疎通を取っていた。思い返した通り、初はあまり乗り気ではなかったが、説明を重ねていくごとに何となくいいんじゃないかというような反応になっていった。ただただ、状態を聞いてから義務のようにただただ動いていた。
「通話じゃ駄目なの?」
「…悪くは無いけど声しか聞こえないじゃん」
「あー。春希って絶対ネット向かない人間だよね」
「SNSやってねえし」
「そっか、まあ、いいと思うけどね。ちょっと怖いけど興味もある」
「だろ」
ここまで動くのは久しぶりだった。初やまなみから状況を聞いた時、もう修復するしかないというふっと生まれた感情が俺を動かしたのだが。何とも。不思議なものだ。奈央の話していたそれに当てはまらない、という訳ではないのだろう、寝る前に何度考えた。夏の日、誠也に放った「俺たちは救われなかった」という言葉に一抹の後悔もしたりしながら。